土地の中には、売りにくく、売却しようとしても相当低い価格にしないと、売れない土地があります。このような土地としては、貸宅地、不整形地、無道路地、山林などがあります。
貸宅地は、路線価×(1-借地権割合)で相続税計算上は評価されます。借地権割合は、場所によって異なりますが、宅地の場合は7割の場所が多いので、3割で評価される場合が多くなります。これに対して、売却価格は時価の2割以下になってしまう場合が多く、結果として相続税の評価額よりも低くなってしまう場合が多くあります。このような場合には、相続前に売却をしてしまった方が、相続税を安くすることができます。ただし、貸宅地はじっくり交渉すれば、時価の3割ぐらいで売却できる場合もありますので、時間をかけてじっくり売却するのか、早く処分するのかの方針を決めておく必要があります。
不整形地とは、土地の形が通常の四角形ではないような土地です。不整形地や山林なども売りにくい土地です。このような土地も無理して売ろうとすると、相当低い価格になりますので、たとえ少し価格が低めでも相続前に隣接地の持ち主などに売却しておくことも、相続対策としては有効です。
無道路地とは、道路に面していない土地です。無道路地は通常は新たな家が建てられらないので、売買しようとしてもなかなか買い手がいません。一番良いのは、隣接地の持ち主に買ってもらって、無道路地でない状態にしてもらうことです。この交渉も時間がかかることが多いので、相続前に早めに交渉しておいた方が良いと思います。
田舎の山林も売りにくい土地です。なかなか買い手が付かず、無理に売ろうとすると逆に費用を請求される場合も多くあります。相続では定額とは言え、一応評価されて相続税を支払っている土地を、処分しようとすると逆に費用が掛かってしまうのであれば、相続前に処分してしまっておいた方が得ということになります。最近は、「相続土地国庫帰属制度」という新しい制度が出来て、相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができますが、この制度を使用する場合にも数十万円の費用が掛かりますので注意してください。