3.2 贈与税の配偶者控除の活用

 婚姻期間が20年を超えた夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、基礎控除の110万円のほかに最高2,000万円までの配偶者控除を受けることができます。これを活用することにより、相続税の軽減を図ることができます。
 この特例を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2)配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

 この控除を受けるためには、贈与税の申告が必要です。贈与が行われた年の翌年に申告を行い、必要な書類を税務署に提出する必要があります。贈与税の申告書に、次の書類を添付する必要があります。

(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本または抄本
(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの

 また、配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができませんので注意をしてください。

 この特例を活用することにより、相続財産を減らすことが出来、相続税を節税することが可能になります。ただし、この特例の活用が有効なのは、夫婦のうち相続財産が多い方から少ない方への贈与の場合です。これを逆にしてしまうと、却って相続税が増えることになりますので注意してください。

この記事を書いた人

税理士・中小企業診断士・行政書士 落合和雄
2005 年 3 月 税理士士登録(東京地方税理士会所属)
1987 年 1 月 中小企業診断士登録(東京都中小企業診断士協会所属)
2016 年 1 月 行政書士登録(神奈川県行政書士会所属)
税理士登録以降、相続案件に力を入れ、現在年間約 70 件の相続の相談に応じています。また、中小企業診断士として年間約20件の M&A を含む事業承継の相談に応じています。行政書士としては、遺言書の作成、家族信託の支援も数多く扱っています。
ご依頼者がベストな解決にたどり着けるためのサポートをすることは当然として、関係者みんながハッピーになれる方策を探るように心がけています。

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