相続時精算課税制度とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め(2500万円まで無税)、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
この制度を利用できるのは、贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)です。
相続時精算課税では、2500万円まで贈与税が無税になりますので、相続税が節税できるような気がしますが、この分の財産は、相続時に相続財産に組み込まれますので、相続税が節税になるわけではありません。また、この制度を一度利用すると、暦年贈与の贈与税の110万円の無税枠が使えなくなってしまいます。
しかし、以下のような場合には、相続時精算課税を使うと有利になりますので、検討してみる価値があります。
①相続税がかからない場合
②今後、値上がりが予想される財産の贈与
相続時精算課税は改正が行われ、平成6年1月1日以降の贈与については、年間110万円の無税枠が創設されることになりました。相続時精算課税に基づく贈与については、相続発生前3年間(平成6年1月1日以降は7年間)の贈与の相続財産への元戻しの対象になりませんので、従来よりも相続時精算課税を使う方が有利になるケースが増えています。特に相続までにあまり時間がないと想定される場合には、暦年贈与よりも相続時精算課税を選択した方が有利になるケースが多くなりますので、専門家とも相談して、どちらが有利になりそうかよく検討するようにしてください。