相続人が故人の負債を相続する可能性がある場合、以下のような対応が必要になります。
1.財産の評価と負債の確認
相続人は、故人の財産と負債の全体像を理解するために、財産の評価と負債の総額を把握することが必要です。特に財産と負債のどちらが多いのかを把握しておくことは非常に重要です。
2.保証債務の確認
債務の中でも特に注意が必要なのが保証債務です。保証債務の存在はなかなか気が付かない場合も多いので、被相続人の周辺に借金の多い人がいたら、その人の借金の保証人になっていないかなどを十分に調査する必要があります。保証債務は債務が確定していない段階では相続税の計算上の債務控除の対象にはなりませんが、債務者が返済できない場合には代わりにその借金の返済義務を相続人が負うことになります。保証債務の可能性がある場合には、限定承認などの対策を取っておいた方が良いと思われます。
3.法的アドバイスの取得
財産、債務を把握した上で、専門家の助言を求めることは非常に重要です。弁護士や税理士などの専門家は、相続の法的側面を詳細に説明し、最善の行動計画を立てるのに役立ちます。
4.家族との協議
相続にはしばしば家族間の協議が伴います。全ての関係者が情報を共有し、合意に至ることが重要です。負債を引き継いだ場合に、その返済は可能なのか、誰がその負債を引き継ぐのかなどを、家族みんなで相談しておく必要があります。
5.具体的な対策
財産よりも債務が多い場合には、多くの場合、以下の2つの対応が行われます。
①相続放棄
相続人は、相続を一切受けないことを選択することができます。これには負債だけでなく、財産も含まれます。相続放棄は、家庭裁判所に申し立てを行うことで行われます。
②限定承認
相続人は、故人の財産の範囲内でのみ負債を負うことを選ぶことができます。これにより、故人の資産は故人の負債から保護されます。特に保証債務の存在が予想される場合などは、限定承認が有力な対策になります。
相続人が相続放棄や限定承認をする場合には,原則として,「自己のために相続の開始があったこと(被相続人が亡くなったことと,それにより自分が相続人となったこと)を知った時」から3か月以内に家庭裁判所でその旨を申述しなければなりませんので、十分に注意してください。