代償分割

代償分割とは、共有財産を持つ共有者間でその財産を分割する際に、物理的に分けられない財産や等価の分配が困難な場合に、一部の共有者が財産を独占し、他の共有者に対してその価値に相当する金銭や他の財産を支払う方法です。これは不動産の共有解除などで見られる手法で、土地や建物などの不動産共有において利用されます。例えば、相続財産が土地しかなく分割しにくい場合に、土地を相続した人が他の相続人に代わりに自己の財産から金銭を払う場合などがあります。

代償分割を行う際には、まず財産の評価が行われ、その財産に対する各共有者の持分に応じた価値が算出されます。その上で、財産を取得する共有者が他の共有者に対して持分に応じた代償を支払います。例えば、三人の共有者がいる不動産を一人が独占する場合、その人は残りの二人に対してそれぞれの持分相当の代償を支払う必要があります。

代償分割の利点は、物理的な分割によって財産の価値が減少することを防げる点にあります。特に、一つの不動産がそのままの状態で最も価値を有する場合、代償分割は有効な解決策となります。しかし、共有者間で代償の額について合意が必要であり、時には財産の評価に関する争いが生じることがあります。

実務では、代償分割を行うにあたって遺産分割協議書を作成することが多く、これにより法的な拘束力を持たせ、後の紛争を防ぐことができます。

代償分割は、共有財産の公平な処理を図る上で有効な手段であり、共有者間の合意形成が重要なプロセスとなります。

この記事を書いた人

税理士・中小企業診断士・行政書士 落合和雄
2005 年 3 月 税理士士登録(東京地方税理士会所属)
1987 年 1 月 中小企業診断士登録(東京都中小企業診断士協会所属)
2016 年 1 月 行政書士登録(神奈川県行政書士会所属)
税理士登録以降、相続案件に力を入れ、現在年間約 70 件の相続の相談に応じています。また、中小企業診断士として年間約20件の M&A を含む事業承継の相談に応じています。行政書士としては、遺言書の作成、家族信託の支援も数多く扱っています。
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