相続税の贈与税額控除とは、相続発生前に故人から贈与を受けた人が、その贈与に対して既に贈与税を納めている場合、その贈与税の額を相続税から控除できる制度です。この制度は、二重課税を防ぐことを目的としています。
この控除を適用されるのは、贈与した財産の額が相続財産に組み込まれた贈与で贈与税が発生している場合です。具体的には、故人からの暦年贈与が相続開始の3年以内(令和6年1月1日以降の贈与については7年)に行われ、かつ贈与税が課された場合と、相続時精算課税が行われ、かつ贈与税が発生している場合に限られます。具体的には、相続税を計算する際に、相続財産に先の贈与財産を加算し、その上で既に支払った贈与税額を相続税から控除することができます。
例えば、故人が相続発生前3年以内に1億円を贈与し、その際に贈与税として1,500万円を納税したとします。その後、故人が亡くなり、子が相続することになった場合、この1億円は相続財産に加算されますが、既に支払った1,500万円は相続税から控除されます。
この制度の利点は、贈与と相続が連続して発生した場合の税負担を軽減できる点にあります。ただし、控除を受けるためには、贈与の際の税額控除証明書など、適切な書類の提出が必要です。