相続空き家の3千万円控除は、相続で取得した旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築)の空き家を相続人が一定の条件を満たしたうえで売却した場合に、その譲渡額から3千万円を控除できるという特例です。この特例が使える条件が、2024年1月1日から緩和され、より使いやすくなります。
それでは、まず現在の条件を確認します。2023年12月31日までの主な条件は以下の通りです。
①相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
②相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。
③建物は昭和56年5月31日以前に建築されており、区分所有建物でないこと。
④譲渡価額が1億円以下であること。
⑤売主が建物を耐震改修または取り壊してから譲渡すること。
今回条件が緩和されるのは、この条件の⑤で、以下の条件が追加されます。
⑤買主が耐震改修または取り壊したものも対象に含める。
一般の空き家の売却では、買主が建物を壊す場合が多いのですが、従来の空き家特例では買主が空き家を壊してしまうと対象にはなりませんでした。今回の改正で、買主が空き家の取り壊しを行っても空き家特例が使えるようになり、より利便性が高くなります。
また、買主が空き家の取り壊しと新たな建物の建築を一緒に行った方が合計の費用が少なくなることも多いので、売主の手取りが多くなる可能性もあります。
ただし、改正で不利になる点もありますので注意してください。
2023年12月31日までは、共同相続人1人あたり3千万円の控除が使えましたが、2024年1月1日からは共同相続人が3人以上の場合には、1人当たり2千万円の控除になりますので、3人以上の共同相続人がいる場合は、2023年12月31日までに売却した方が有利になる場合があります。